発表会が無事終了しました!
ベートーヴェンピアノソナタ第30番第1楽章。一昨年の12月から練習を始めて15ヶ月、やっとひと段落です!
子供の頃の唯一の発表会は暗譜でしたが、大人になってからはずっと楽譜ありだったので、暗譜で発表会に臨むのは四十数年ぶりです。
そういうわけで、今回の発表会の目標は「立ち往生しない」「楽屋まで楽譜を取りに戻らない」です。
自分の出番の前に練習できるよう、無料で練習室を20分間貸してくれるのですが、そこで起こったことが、
「14小節目の左手の二つ目の音が何だったか思い出せない」
でした。
あれ、ソ#とミだったっけ?
違う。
ファとレだったっけ?
これも違う。
シとファだったっけ…?
いや全然違います。
一旦忘れてしまうと、もう最初から弾き直しても、何度トライしても何だったのか思い出せません。
しかも楽譜持ってくるの忘れた!そんな必要はないとたかをくくっていたのが大間違いでした。
幸い自分の出番までにはまだ30分の余裕があったので自宅に戻り(会場が家の近所だったのが泣くほど嬉しい)、楽譜を開いてピアノで確認。
レとシでした。全然違うやん。
とりあえず楽譜を鞄に入れて大急ぎで戻って、そしたら楽屋に入るように言われました。
生まれて初めて入る楽屋。作り付けの机と椅子の前には鏡があって、めっちゃ楽屋っぽい。まあ楽屋だから楽屋っぽいのは当たり前なんですが。
鏡をふと見ると髪が乱れてるなと思い、持ってきた櫛で髪を撫でつけたりして。
楽屋にはモニター代わりのテレビがあって、音も流れます。上手いなこの人。
とか思っているうちに呼ばれてステージ袖で待機。
前の人の演奏が聞こえてきます。これがなんとショパンのバラ4。しかもめちゃくちゃ上手い。何なのこの人、本当にアマチュアなの?聞き惚れてしまいました。この人の後に弾くのかと思うとめちゃくちゃ緊張します。いや、先生、っていうか事務局さん!下手な人から順に並べてくれないと後に弾く人がめちゃプレッシャーなんですけど!
とりあえず立ち往生しないで最後まで完走すればそれだけでいいんだからと自分に言い聞かせます。
ドキドキしながら舞台に上がります。なんかうつむきながら歩いてしまう。
舞台中央ってこの辺かな?と思いつつ適当に止まって適当にお辞儀したら客席から拍手が聞こえました。あ、これで良かったのね。
椅子はトムソン椅子でした。ラッキー。これならいつも選んでいる位置が上から三段目と決まっているので助かります。ベンチ椅子だと高さがいまいちよく分らないんですよねー。
ピアノの型番を見ます。CF-IIIでした。ヤマハか。良かった。スタインウェイだとペダルが妙に浅いのがあって踏み辛いんですが、ヤマハはペダルの踏みしろが長いので分かり易くていいんですよねー。
鍵盤の上をざっと見渡して、演奏途中で気になって止まらなくなる埃とかがないかどうか確かめます。家のピアノで弾くと、本当に埃とか鍵盤蓋に付いているフェルトの出っ張りとかが弾いている途中に気になるんですよね。
よし、埃はないな。
ハンカチで鍵盤の上をざっと払う人たまにいますよね。あれ、カッコいいなと思ってたんですが、事前に心づもりしてなかったんでできませんでした。
椅子の前後位置を確かめて、スーツの皴を直して、さあ弾きましょう。
おっと、このピアノ、鍵盤の沈み具合が浅いしタッチがメチャクチャ軽い!なんだこれ!タッチが軽すぎて指がスイスイ動いてしまう!やばい!指が滑ってる!走ってるぞ!どうどう!ああ!音が抜けてる!何だったか忘れてしまった音を抜かしてしまった!まあいいや!次!次!
いやいや、音を聞かなければ。今コンサートホールで弾いているんだから、せっかくのこの機会、充分に味わなければ。返ってくる音を聞こう。
今まで何回か発表会に出てきて毎回と言っていいほど会場が違ったんですが、全然音が返ってこないとことか、ボソボソした音しか返ってこない会場とかあって、そういうところはめっちゃ弾きにくかったです。強い音を出したつもりなのにホニャホニャした音しか返ってこないとめっちゃ困ります。そういう会場だともうどうしたらいいのかわからないのでとにかく叩きまくるしかないです。だって強い音も弱い音も区別がつかないんだもん。
と思っているうちに76小節目、ここで四分休符が出てきて、四分の二拍子ですからたっぷり半小節分の間、音の余韻を聴くことができます。
音が返ってきました。澄んだ美しい響き~!このホール、めちゃ良い音する~!
この音をたっぷり聴こう~!
幸い、76小節からはスピードを上げる箇所はないので、ゆったり流します。
最後の和音、先生に何度となく直された箇所(全ての音を出しながらソプラノをしっかり出して、なおかつ弱音で弾く)もなんとなくできたような気がします。
ああー終わったーと思いつつ立ち上がって、舞台前方に出ます。
あれ、拍手がない。
うろたえながら舞台前方に出てお辞儀をするとやっと拍手が起こります。みんなお辞儀するまで待ってたのね。
軽く動揺しながら下手に下がると、スタッフの人が小さく拍手して出迎えてくれました。めちゃありがたい。
やれやれやっと終わったと思いつつ、スタッフの方にお辞儀しつつ退場。
後はやれやれやっと終わったとゆったりした気分で残りの発表会を最後まで聞きました。ヴァイオリンとかフルートがあって興味深く聞きました。みんな発表会まで頑張ったんだなーと感慨深い。
後はねー、なんかDVDで演奏記録が送られてくるらしいんですが、とても見る勇気がないです。めっちゃしっちゃかめっちゃかなんだろーなー。
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2 件のコメント:
発表会お疲れ様でした。小生は写真であれ映像であれ、はたまた鏡の中でさえ己の姿をみられるということが不思議な感覚であります。追伸服靴鞄の記事も楽しみにしております。
テルオさん、コメントありがとうございます。
鏡を見るとこれが本当に自分なのかと思うことありますね。最近は「こんな老けたおっさんが自分なのか」としみじみします。
服、靴、鞄の方は数年前に断捨離をして以来、情熱が薄れたので(金がないとも言う)そちら方面の記事の更新はなかなか難しい状況です。
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