音楽をPCで聴くようになって随分経ちます。
以前はEsoteric P-0(後にP-0sにバージョンアップ)という高くて重くて大きいCDトランスポートを使っていたのですが、Frieve Audioというアップサンプリング機能付き再生ソフトの音が非常に良くて、P-0(s)は売ってPCに一本化しました。
Frieve Audioは設定ファイルでリサンプリングフィルタのタップ長を上げて設定して4倍アップサンプリングすると音が良くなりました。タップ長を上げれば上げるほど音が良くなるのが楽しくてどんどん上げて、最終的には1677万タップ(2^24-1)まで上がりました。そうなるとPCに相当の性能を要求しますし、音が出るまでの時間が長大です。
あんまり時間がかかるので段々面倒くさくなりFrieve AudioからBug Head Emperorに代えましたが、これも結構時間がかかるソフトでした。その後RoonとHQPlayerの組み合わせの評判が高いので使い始めました。
HQPlayerは音は良いもののユーザインタフェースがしょぼいので、そこをRoonでカバーします。
HQPlayerにはDSD2048にアップサンプリングする設定があるのですが、使っているデジタルアンプTechnics SU-C700はDSD128までしか受けられないので、DSD128にアップサンプリングして聴いていました。
しかし手持ちのDAC兼ヘッドホンアンプiFi micro iDSD BLはDSD512まで受けられるので、これをアンプのアナログ入力に繋ぎ、DSD512で聴いてみました。
デジタルアンプSU-C700はアナログ入力だとADコンバータを経由するのでその分音が悪くなる筈です。
でもやってみたら、アンプのデジタル入力にDSD128を入力するより、DSD512をDACに入れてそのアナログ出力をアンプのアナログ入力に入れた方が音が良かったのです。
もちろんDSD128同士で比べたら、一度アナログに戻してからもう一度デジタルにする余計な手間が発生する為、DACを通した方が音が悪いのですが、DSD512アップサンプリングはそのデメリットを上回りました。
これは朗報です。DACはデジタルアンプよりもずっと技術の進化が早く、かつ安い(物もある)ので、DACが活用できるのなら常に最新デジタル技術を堪能できるわけです。
最新デジタル技術の最先端はDSD2048ということになるのですが、調べた限りDSD2048を受けられるDACというのは未だ無くて、DSD1024を受けられるDACもほんの一握りです。
DSD1024を受けられる(かつ今買える)DACの中ではDenafripsという中国メーカーのAres IIというDACが最安でした。
DACの進化は早いので、気兼ねなくどんどん買い替えて最新技術を楽しもうと思うとあまり高いものは買えません。それに頑張って高いものを買っても「ひょっとして安い物でもほとんど違わない音が出せるのではないか」と疑心暗鬼になって気が休まらないんですよね。まあ全部試聴できれば問題ないのですが、日本ではDenafripsの取り扱いが無いので聴きに行けるところがありません。
最安と言っても10万円を超える物ですし、中国から輸入すること、中国製品であることからトラブルが心配でしたのでしばらく悩みました。
ネットで評判を調べると日本で買ったという人は殆ど見つかりませんでした。ただ海外のレビューでは好評でしたし、特にStereophileのRecommended Components(これ結構信用してます)に載っているというのに後押しされて思い切って注文しました。勝間和代も「迷ったらリスクの高い方を選べ」とYouTubeで言ってましたしね。
最近は円安が激しくて海外製品を買うには時期が悪いのですが、それでも12万円ちょっとで済みました。
中国からの輸入は今回が初めてなのでドキドキしましたが、全く難しいことは無く、au PAYカードを登録したPayPalで支払えました。カードで直接払えるし、その方が有利なレートになるらしいのですが、なんとなくカード情報を出すのは嫌だったので。
土曜日に注文して翌週の木曜日に到着したので、4営業日で着いたことになります。あっという間です。
FedExで輸送されて日本に着いてからはゆうパック扱いになったので、ネットで近所の郵便局で受け取る手配をして無事受け取ってきました。わざわざ配達して貰わなくても済みますし、こちらもいつ来るのかヤキモキしながら待たないで済むので楽ちんです。
中国メーカーだしトラブルはつきものなんだろうなあと恐る恐る音出ししたら、ちゃんと音が出ます。まずこれに感激。
そしていよいよ本題のDSD1024。DSD1024をUSBで伝送するにはUSB3.0でなくてはならない筈とネットで書いている人がいて、Ares IIのUSB入力端子はどう見てもUSB2.0なので音が出るのか心配でしたが杞憂でした。ちゃんと音が出ました。DSD1024で何時間も聴いていますが一度もトラブルはありません。
感想としては、
・音のきつさが取れる
・音の芯がしっかりとしてきて実体感が上がる
・楽器の音色が美しくなる。良い楽器を使っているんだなということが分かる
・楽器が歌っていることが分かる
・音の透明感が上がる
・音のニュアンスが深くなる
・音がより鮮やかになる
・音の表情(くすんだ音、あいまいな音、クッキリした音等々)がより細かく聴き分けられる
・音のヌケが良くなる
・リズムのキレが良くなる
・臨場感がある
・録音によっては体が音に包まれるようなサラウンド感がある
・低音に濁りが無くなり、よく締まってタイトになる
・低域が伸びる
・音量を上げても全然うるさくない
といいことずくめです。優秀録音はとんでもなく素晴らしくなり、そうでない録音はそれなりに底上げされます。
DSD512、DSD256、DSD128と下げていくとこれらの特徴が減退していきます。何度か聴き比べてみましたが、やはりDSD1024がベストです。
DSD1024にアップサンプリングしたCD(のような16bit/44.1kHzの録音)の音を聴いていると、CDかハイレゾ音源かという区別にはあんまり意味がなくて、優秀録音かそうでないかという区別があるだけだと思うようになりました。DSD1024だとCDでも優秀録音なら「あれ?これハイレゾだったっけ?」と錯覚するような素晴らしい音が聴けます。ここまで良い音が出るんだったら別にもうハイレゾいらないんじゃないの?と思うくらいです。
かといってハイレゾ音源に意味がないかというと、最近のハイレゾ音源を適当に選んでDSD1024にアップサンプリングして聴いてみたら、これまた度肝を抜くくらい良い音なんですよね。この音はCDからのアップサンプリングでは出せないなと思ったりで色々悩ましいです。
PCはCPUが12900K、GPUがRTX3060です。HQPlayerはフィルターとシェーパー(DSDの場合はモジュレータ)という音質に関する設定があってそれぞれ沢山の選択肢があり、自分の好みで選ぶようになっています。しかしPCの負荷がそれぞれに違い、重い設定だと音飛びしたり、そもそも再生できなかったりします。
今の設定はフィルターがCDではsinc-M、ハイレゾではpoly-sinc-gauss-hires-lp、モジュレータがDSD5v2 256+fsです。まだ全部調べたわけではなくてちょっと幾つか試しただけですが、今のところ音飛びがなくちゃんと正常に再生できて、かつ自分の気に入る音が出る組み合わせです。
今後、CPU/GPUの性能が向上して今は聴けない設定が聴けるようになることを期待しています。そしてできれば価格も下がってくれたら嬉しい。本当のところ、今すぐにでもRTX3090が欲しいのですが高くて買えずにいます。
そしていつかはDSD2048!聴いてみたい!どんな音かワクワクします。
DSD2048が良いのだったらDSD4096はもっと良いのか、じゃあDSD8192はメチャクチャ凄い音が出るのかと言われれば、それもどうかと思います。
このまま倍々にしていけば、音が良くなるのもいつかはどこかで頭打ちになるんでしょう。まさか無限に良くなっていくということはありえないと思います。
しかしDSD256とDSD512の差と、DSD512とDSD1024の差を比較する限り、頭打ちはもうちょっと先になる気がします。
さてDSD2048はどんなにスーパーリアルな音になるんでしょうか。DSD2048対応のDACを今から心待ちにしています。
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