2021年4月5日月曜日

練習嫌い克服法

毎日練習するようになって丸一ヶ月が経ちました。

そろそろ練習嫌いの名前を返上しても良い頃かなと思い、練習を続けられるように今まで工夫したことをまとめたいと思います。


・大原則:ピアノの音を味わう気持ちを忘れない

ピアノの音は好きなのですが、練習中はピアノの音を味わうということをついつい忘れてしまい、雑な音を出してしまいます。

雑な音を聞き続けるのは苦痛なので耳が拒否反応を起こし、練習が嫌いになります。

雑な音になってるなあと思ったらすぐに手を止めて、なんでもいいので奇麗な音を出してみて耳をリフレッシュ。ピアノって良い音だなあとしみじみしたら元の練習に戻ります。


・練習時間にこだわらない

3分でも練習は練習。

インベンションに悪戦苦闘している時は、朝5分だけ、つまづいている箇所の二つの音だけ、1小節の半分の更に半分だけ練習するということをやっていました。朝の急いでいる時でも5分とか3分とかならなんとかひねり出せます。そんなものでも毎朝やっていると不思議と少しずつ進みます。

時間がある時でも、根を詰めて長時間練習するより、ちょっとピアノを弾いて、ちょっと雑用をやったり気分転換をしたりして、またちょっとピアノを弾いて、と交互にやる方が進むような感じがします。


・テンポ

弾けるテンポで弾く。間違えたりするのはテンポが速すぎる証拠。でもポジション移動だけは可能な限り素早く行うように努める。

間違えると間違えた音を耳が覚えて指が再現しようとするので、間違いは全力で防ぐ。

分かっていてもつい速く弾いちゃうのが問題…そして間違える…


・必ず練習課題を設定してから練習する

最初の通し練習で今日の練習課題を何にするか決め、その後の部分練習で課題を解決します。

今絶賛練習中のベートーヴェンピアノソナタ第30番第1楽章では、目下演奏時間の短縮がテーマなので、通し練習の録画を見てどこに一番時間がかかっているか、どこが一番手っ取り早く直せそうか見当をつけて、なぜ時間がかかっているのかをはっきりさせてから練習にとりかかるという流れでやっています。


・問題箇所の原因を考察

今のところ、間違えて弾き直したり、頭がフリーズして止まってしまう為に時間がかかっています。

間違えたり止まったりする問題箇所は、問題の音とその直前の音の二つだけを弾いて観察し、問題発生の原因を探ります。

原因は大体、

1.音が頭に入っていない、歌いながら弾いていない、楽譜に集中せず目が楽譜の上を滑っている

2.運指の問題(運指が不明確なまま弾いている、弾き易い運指を検討していない、運指が指に馴染んでいない、決めた筈の運指と違う運指で弾いている)

3.指や手、手首、肘、ほか体のどこかの動作に無理・無駄がある

4.呼吸をしていない、息を止めて弾いている

5.喉が渇いている

の五つに集中している感じです(例外も多々ありますが)。

二番目の運指は一番良いやり方が見つかるまで何度も考え直します。多い所だと楽譜の書き込みを5回くらい書き換えている気がします。テンポが上がると最適だと思っていた運指が実は変えた方が良いということもよくあり、なんか弾き辛いと思ったら即座に変えます。

今使っている楽譜は薄くて軽くて大き目で見易い園田高広版ですが、運指に関してはアラウ版の方が参考になります。

アラウってよっぽど手が大きくて器用だったのか「いやそんなの無理ですから」っていうのもあるんですが、「なるほどねえ」と思うことも多いです。なので結構アラウ版から書き写しました。

三番目の問題はなかなか自分では気づけないので動画を撮って観察したりします。これで一つわかったのが、アルペジオを弾く時に肘と手首を思いっきり回していることです。

「そんなの当然でしょ」と思っていたのですが、ググったらアルペジオの時は肘も手首も回さないんですね…これにはビックリでした。

前の先生に教わったことを思い出して、指くぐりの時に親指を付け根から思いっきり素早く大きく曲げるようにしたら肘を回さず弾けるようになりました。まだ手首はちょっと回ってますが。

また、最近気づいた癖として、間違える箇所の直前に、知らず知らずのうちに左の肩をすくめたり、左の足を突っ張ったりしていたというのがあります。

弾いている最中に時々「足が突っ張ってないかな…肩は降りているかな…」と気を付けるようにしています。これで結構間違いが減った感じがあります。

四番目の息を止めている、これもよくあります。先生は幾つかのコンクールで審査員をされているんですが「呼吸が上手くできていない人をよく見る」と仰ってましたので、コンクールに出るほど弾き込んできた人でも呼吸を忘れてることがあるようです。いやコンクールだからこそ呼吸を忘れるのかもしれませんが…。あがっちゃいますもんね…。

ピアノを弾く時にどう呼吸すればいいのか、ググってもあんまり出てこないんですが、「上行で息を吸い、下行で息を吐く」「クレッシェンドで息を吸い、ディミヌエンドで息を吐く」というのがあったので、前にやっていた「手折られた潮騒」で試してみました。すると間違い根絶とテンポアップを同時に達成できました。

五番目の喉が渇くというのは…動画を撮って気が付いたんですが、難しい所を弾く時は口が半開きになってるんです。だから喉が渇くんですが、そうなるとイライラして精神的な余裕がなくなるんですよね。だから練習の合間も、そうでない時もこまめにお茶を飲むようにしています。


・部分練習は二つの音だけから始める

問題が右手にあるなら右手だけ練習します。二つの音だけの練習で問題が解消できたら、そのまた直前の音を足して三つの音だけの練習をしてスラスラ弾けるかどうか確認。こうして少しずつ音を増やしていって適当な長さになったら左手も付けて練習。


・解決したい課題は一度に一つだけ

練習をする時には、解決したい課題は一度に一つだけに絞ります。一回の練習に課題を二つ詰め込んで解決できたためしがないです。


・課題はできるだけシンプルで直ぐに解決できそうなものにする

解決がそれだけ早くできるので、少ない練習で成果を上げられるというメリットがあります。

また、課題が解決できなくても、課題をもっとシンプルな課題に分割できたり、課題の本質が実は練習前に思っていたのとは違っていたと分かったなど、何か発見があれば練習の成果はあったものととらえ、メデタシメデタシで練習を終われます。


こんな感じで、練習を単なる反復練習ではなく、観察・思考・実験と考え、僅かでも着実に成果を上げることを目指すことにしたら練習が楽しくなりました。

特に、今やってるような自分の身の丈を遥かに超える難しい曲に手をつけている場合、終わりが見えなくて挫折し易いので、ほんの少しでも前に進んでいるという達成感があると心強いです。


以上で解決できない問題は、定番ですがリズム変奏を思いつく限りのパターンで試してみるとか、曲の流れを掴むこととかですかね。

曲の流れに関して、和音が延々と続いて何をやっているのか訳が分からんという箇所があるのですが、一番上の音だけを見たら

ファxソ♯ラ♯シ

ラ♯シド♯レ♯

ド♯レ♯ミ♯ファ♯

ミ♯ファ♯ソ♯ラ♯シ

ソ♯ラ♯シド♯レ♯ミ

ド♯レ♯ミファ♯

レ♯ミファ♯ソ♯ララ♯シ

と、順次進行が7回続いた後に半音進行が少しくっついているだけでした。

今はまだゆっくり弾いている段階ので、なかなか順次進行しているという事が分かりにくいのですが、そのうちテンポを上げれば分かるようになる筈です。というか、なって欲しい。

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