2010年6月30日水曜日

20万円のイヤホン

最初に買った携帯がドコモでして、
それとKDDIのADSL回線を契約していたのですが、
一昨年になって、イーモバイルから「携帯でありながらインターネットモデムになって、しかもインターネットをいくら使っても定額制」というのが出まして、
それで、イーモバイルのタッチダイヤモンドという携帯を買ったのですが、

これがWindows mobileというのを搭載したヤツでして、

要するに「携帯なんだけど、ウインドウズパソコンみたいなもの」なんです。

つまり、この携帯に音楽ファイルを入れて、ウインドウズ メディア プレイヤーを起動すると音楽が聴けちゃうんです。
それは分かってたんですけど、長らくほったらかしにしてました。

ところが、昨日、Bluetoothオーディオアダプタというのを買いまして。

これは何をするものかというと、このアダプタは携帯と無線で接続できまして、またアダプタにヘッドフォンが接続できちゃうわけです。
で、携帯で音楽を再生すると、ヘッドフォンで音楽を聴けると。そういうわけです。

タッチダイヤモンドという携帯は、胸ポケットに入れておくだけでも低温ヤケドが心配になるくらい発熱するのですが、このアダプタを使えば、携帯は鞄の中にしまっておいて、アダプタは胸ポケットに放りこむという嬉しいことが可能です。

今を去ること20数年前、クソ重い携帯CDプレーヤを鞄に入れ、鞄から出したイヤホンを耳につないで、コードが強く引っ張られないように注意しながら片道2時間の通学路をこなしていた大学生時代を思うと、なんと時代は進化したものかと思います。

しかし、そうはいっても、手持ちのソニーのイヤホンだと音がシャカシャカしていて、ちょっと辛いんですよねえ。
このイヤホンは17年前に買ったもので、4000円くらいだったかな。安月給だったので、それでもかなりきつかった覚えがあります。
しかし、長年のオーディオ三昧&ピアノ三昧に慣らされた耳に、この上滑りなシャカシャカ音はきつい。

というわけで、梅田のヨドバシカメラに行って、適当なイヤホンを買おうと思ったのです。


が、しかし、そこに悪魔のような店員がいまして。
見た目は若くてキレイな女の子なのですが、中身は全くのメフィストフェレスでして。

一応、パナソニックのなんとかいうのを買うつもりで、型番をメモして買う気満々で行ったのですが、
「試聴なさいますか?」って言うんですよ。
ヨドバシカメラでそんなこと言われたの初めてです。

で、お言葉に甘えて試聴させてもらった後、じゃあ買って帰ろうかなと思っている矢先に、「他にも何か聴きたいものはございませんか」なんて言うんですよ。

無碍に断るのもなんなので、ざっと見渡して一番高いのを見つけて「じゃあこれをお願いします」とか言ってしまったのが運の尽き。

これが、先程のパナソニックとは全然違うんですよねえ。
ものすごく自然なんです。
まるで、家に帰ってスピーカーの前に座って聴いているみたい。

うちのオーディオシステムは、10数年の月日と情熱と数百万円(ちょっと計算したら600万を超えてました)の勉強代を投じて築き上げたもので、
日本中で自分より良い音を出している人は何人もいないという自負があります。
(まあ、主観っていうか、独りよがりと言えば独りよがりなんですけど)

それが、イヤホンで20万円は法外に高いとはいえ、たった20万円で自分のシステムを連想する音が出てしまうとは。

これは買うしかないでしょう。

というわけで、即決しました。

というわけで、今、その final audio design の FI-DC1601SC という、全く覚えられそうにない型番のイヤホンを使って、CDからmp3に圧縮した音楽ファイルを聴いています。

いやいや、これは凄いですよ。
このクオリティの音が、外出先で聴けるかと思うと、もう嬉しくて嬉しくて。

これはライフスタイル変えちゃいますね。
断言します。

…しかし、高すぎて、おいそれと他人に勧められないのが玉に瑕。
これはなんとかならんもんかな~。

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2010年6月17日木曜日

アットリーニ、キトン、トム・フォードの間を揺れる

今回もまたスーツの話です。すいません。

昨日、何の気なしにN…のお店をのぞいたら、
サイズ44のアットリーニのスーツがあったので、
ちょっと着てみました。

今までのアットリーニの常識を覆す細さで、
ウエストはそんなにきつく絞ってないものの、
全体にすらっとしたイメージ。
色は明るい目の紺で、近くで見ると細かいストライプが入ってますが、
2メートルも離れると無地に見えるレベル。

あ~これ欲しい。

しかし、セール価格でも結構な値段なので、熟考の価値あり。

というわけで、とりあえずキトン@梅田ヒルトンを見てきました。

キトンは非常に有名なメーカーで、
一部の男性ファッション雑誌の中では神格化が過ぎているきらいもあったりなかったり。

ここの、ニューKBモデルというのを着せてもらいました。
サイズ46でおおむねピッタリ。
印象としては、なんかね、ホノボノとした良さがありますね。
陽だまりでホッコリ、みたいな。
スーツ価格で50万円代から…という、ものすごく値の張るブランドですが、
着た感じは少しも威張った感じのない、
初めて着たのに、まるで昔から着込んでいたかのようにフィットする、
不思議な感じの服です。

で、トム・フォード。
サイズ44のバッキンガムと、サイズ44のコルト(着丈が短い)のリージェンシーの
両方を着せてもらいました。

キトンは胸の丸みを覆い切れなくて、下襟と体の間に隙間が空いてしまうのですが、
トム・フォードは胸板の厚みをある程度想定して作っているようで、
全然隙間が空きません。
そしてウエストの激しい絞り。
背中の、首から腰にかけての複雑なカーブ。
肉体の三次元的曲線的うねりを服が忠実になぞっていて、
これがトム・フォードの色気と呼ばれるものの実体のようです。

なるほどね。

やっぱりアットリーニはやめて、
トム・フォードでバッキンガムをオーダーすることにしました。

トム・フォードの店員の話では、9月にイタリア人技術者が来日してオーダー会を行うそうです。
それに備えて、当面は買い物を控えることにします。
9月までガマンガマン。

ところでですね、
以前、スーツをオーダーした話を書きましたが、
なぜ、その店でオーダーせずに、
トム・フォードのような、いかにもブランド料を大量に上乗せしてそうな、
どうみても割高な店にオーダーするのかと言いますとですね、

これはMen's Exという雑誌の別冊「本格スーツ大研究」によるところが大です。

このムックにスーツのディテールの解説がありまして、
その一つに「バナナ」というのがあります。
「バナナ」の説明をこのムックから紹介すると、
「殺し襟の作業を簡略化するために襟首につけ接ぎ合わせることで襟を丸く形作るためのパーツのこと」
ということです。

…まあ現物を見ないと何のことか分からないと思うので、
細かく説明はしませんが、
(バナナありとバナナなしの両方を見れば一目瞭然です)

要するに、
バナナが付いているのは、
技術レベルがその程度である
と言えるかもしれません。
(違うかもしれません)
(やろうとしたらできるけど意味が無いからやらないだけかもしれません)

で、バナナが付いてないのは
(つまり、殺し襟が出来ているのは)、
私の手持ちのスーツでは、アットリーニとトム・フォードだけでした。
他のスーツには全てバナナが付いてました。
もちろん、以前オーダーしたスーツにもです。
(バタク・ハウスカットもバナナ付きでした。12万もしたのにバナナ付きだなんて…。結局一度も着ないまま捨てました)

そういうわけで、少なくとも今までオーダーした店を再訪する気にはなれません。
バナナが付いているかどうかで着心地が変わるかどうかは分かりませんが、
アイロンワークができない(=コテの技量に不足がある)テーラーってどうなの?
って、
つい思っちゃうんですよね。
(3ピースのスーツ1着で22万も取る店なのにです)

トム・フォードのスーツはエルメネジルド・ゼニアの工場で作っているそうですが、
ゼニアのスーツは何回試着してもオッサン臭いとしか思えないので、
どうにも受け入れられません。
ゼニアの客は腹ボテおっさんばっかりなんでしょうか?
あれはもうちょっとなんとかならんもんかなあ…。