2013年11月2日土曜日

山百合、水仙、クロッカス、その他を植える

スーパーの野菜売場にて百合根を発見。実に丸々としていて美味しそうです。
その「美味しそう」「食べてみたい」が眺めているうちに「植えてみたい」に脳内変換され、2個購入。
これを植えれば山百合の花が咲くはず。鬼百合かもしれませんが。
最近、百合といえばカサブランカばかりで飽きるんですよねえ。
それに自分の手で育てた百合で開花までこぎつけたのはタカサゴユリしかない。あれは半ば雑草で、何も手をかけなくても育つらしい。せっせと面倒をみていたつもりの小5の私はなんだったんでしょうか。

話を百合根に戻して、2個買ったのは保険の意味であります。一つは発芽して花が咲くんじゃないだろうか、と。一個98円でした。

でもね、園芸店でも売ってるんですよね、山百合の球根(当然のようですが園芸店では百合根と呼ばない)は。
最寄のホームセンターでは値段が書いてなかったのですが、大人買いで2個購入。レジで確認したら一個598円でした。

モノは、スーパーのものより一回り大きくて、生きている根がついてます。分球している気配もないのでこれなら花が咲きそう。さすが高いだけはある。と思いたい。

それから秋分の日の頃に買っておいたラナンキュラスと水仙。ラナンキュラスは子供の頃から植えてみたくてたまらない花でしたが(予告しておきますが、この記事、このフレーズが多発します)、冷蔵庫に入れてゆっくり吸水させてから植えないと球根が腐るというので、子供には絶対関わりを持てない種類でした。水洗いしてあるとはいえ、食べ物でもコンタクトレンズの洗浄水でもない、ただの土に植える球根を冷蔵庫に入れるのは家族から顰蹙を買いそうで憚られたからです。

ですが今は大手をふって冷蔵庫に入れられます。なんとなれば自分ひとりの冷蔵庫ですから!
そうはいっても長年の癖というものは恐ろしいもので、球根に水をふりかけてからジップロックに入れて冷蔵庫に入れました。ジップロックに入れると食品と看做せるような気がして、気が咎めないのです。多分クトゥルフの暗黒神ですらジップロックに封じてからタッパーに入れて冷蔵庫にしまっておけばきっと大丈夫だと思えるのです。そうか、冷蔵庫におけるジップロックとタッパーは、祟り神を祀る神社だったのか。これは日本における家政学と神学の交わりの顕著な例といえるでしょう。うん、これで民俗学の論文が一本書けそうだな。

まあそんな与太話をしている間に冷蔵庫のラナンキュラスは腐ることもなく順調に吸水し、芽が出始めました。気の早い奴なんかはもう根が出ています。これは今度の休みに植えなければ根が駄目になる。というわけで今日に至るまで一ヶ月以上冷蔵庫に放置されていたラナンキュラスをやっと植えることになりました。

ちなみにラナンキュラスを真冬に咲かせるためには、夏から冷蔵処理してひと夏を過ごさせ、その後植え込んで温室栽培するんだそうです。うちのラナンキュラスも、真冬とはいいませんがちょっと早い目に咲いてくれると嬉しいな。

それから水仙。長年球根を買い続けて分かったことですが、チューリップとヒヤシンスは大体手にとって見て触ってみれば花が咲くかどうか分かるものです。要するに硬く、締まっていて、見た目よりもずっしりした感じがあり、肩が張っている。そういうのは間違いなく咲きます。余談ですが、この経験は玉葱や白菜、キャベツなどを買うときにも役に立っています。
しかし水仙はよくわからない。硬く締まっているようにみえても中でひっそり分球していたりして全く花が咲かない、ということがよくあります。また、チューリップやヒヤシンスは1球ごとに選んで買えますが、水仙は2球入りのネット袋単位で買うしかないので、なかなか選べません。特に今回はいざ植えようとしたら萎びて枯れていたのもあり、実に剣呑であります。

そんなわけで、ラナンキュラスと一緒に買った水仙4袋8球が頼りなく思え、山百合と共にさらにラッパ咲水仙10球入りを買いました。

ラッパ咲水仙には思い入れがあります。小学校に入学した春、学校の片隅、百葉箱の隣に白いラッパ咲水仙だけが植えられた花壇があり、そこだけ春の光を浴びて輝いているように見えたものでした。
「渚にて」という小説にもラッパ咲水仙が登場します。核戦争により北半球は全滅し、放射能を含んだ空気が迫りつつあるオーストラリアを舞台に、それでも平常心を保ち、いつもと変わらない日常を繰り返す人たちの物語です。その中で登場人物の一人が黄色のラッパ咲水仙を植えるシーンがあります。ゴールデン・ダッフォディルズってルビがふってあったような気がします。なぜかよく知りませんが、水仙は英語でナルシッサスなのにラッパ咲水仙だけダッフォディルズというようです。
で、その水仙を「来年になったら植え広げて、それを毎年繰り返して、庭一杯をゴールデンダッフォディルズで埋め尽くすの」と彼女が言うんです。しかしその花が咲く前に小説は終わるのでした。

チューリップにもヒヤシンスにも思い入れはたっぷりありますが、さすがにもう何度も植えたので、今年は水仙でいきたいと思います。
子供の頃から植えたいと思っていたものは、あとクロッカスとスノードロップと日本カタクリ。スノードロップは植えた経験が一度だけありますが、花つきがあまり良くなかった記憶があります。ですので15球購入。
クロッカスは、咲くといかにも春が近づいてきたという感じがするので好きなのです。これは30球まとめ買い。
日本カタクリは非常に育てにくいと聞いていたのですが、ここで4球大人買い。しかし袋から出してみたら、保湿用の土の中から出てきたのはカラカラにしなびた何かでした。
これ、生きてるのかな…。土はカラカラに乾いていたしな…。
なるべく期待しないように、心の目を背けながら土に埋めました。

さて、以上は去年ミニトマトを栽培していたプランター一つに全部植えました。高さは8号鉢と同じくらい、面積は8号鉢の4倍くらいありそうです。それでもかなりぎっしりですが、全部が全部咲いてくれるとは限らない、それどころかちゃんと育ってくれるか分からないのでかなり保険を含んでます。

というのも、今年のゴールデンウィークにバラを3鉢買って育て始めて思ったのですが、うちのベランダは日照時間が短い。西日はきついけれども、バラがすくすく育つには日照が足りなさすぎる。

秋分の日にはカーネーションとパンジーの種を蒔きましたが、カーネーションはなんかヘロヘロ、シナシナの徒長気味で、いかにも日照不足です、という感じ。しかしパンジーは小さくガッシリと育っていて、どの植物がうちのベランダで育つのかは実際やってみないと分からない、というのが今年の感想です。

最後に。男がバラだの水仙だのカーネーションだのと書いているとなんだかナヨナヨした感じがしないでもないですが、潅水を済ませて水を滴らせたプランターを眺めつつ、ゆったりと葉巻を吸ったりすると、途端に紳士の趣味に思えてくるから不思議です。

ピアノでもコニャック片手に葉巻を吸いながらピアノを弾けば、途端に気分はサンソン・フランソワです。なかなか実現は難しそうですが。

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